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2009年12月 アーカイブ

2009年12月10日

Kちゃんのこと その1

今の会社に
一風変わった女の子がいます
その子は僕の隣の席のKちゃん

僕と同じ派遣会社で
その職場では半年先輩です

初めて会った日の感覚は
今でも覚えています

派遣会社の人に
「隣のかわいらしい子、先輩なんですよ。
いい子だから、わからないことがあったら
聞いてみてください」
という風に紹介されました

確かに
ちっちゃくて
端正でキレイな顔立ち
清潔感があって
まっすぐに仕事に向かう感じで
好印象な子です

その子と挨拶を交わした瞬間
アッ
と思う感じがありました

ニコッと笑って
「おはようございます!」
とハキハキした口調で挨拶
しかしそれは
どこか作られた感じで
それ以上入ってこないでね
というカベを感じさせる
当たり障りのない
愛想のよさでした

見ていると
どの人とも同じ調子で挨拶
何事にも明るく「ありがとうございます!」
しかしその明るさは
ひまわりのような
両手を広げてまっすぐ太陽に向かう感じではなく
どこか寂しげな影を感じる明るさです

あるレメディーの印象に結びつく感じ…

予想通り
仕事を卒なくこなす子で
文句のひとつも言わず
後輩である僕にも
腰低く
丁寧に
なんでも教えてくれました

僕が冗談を言うと笑ってくれたり
趣味の話などをしても
すごいですね~と
褒めてくれたり
こちらが恐縮するような
「いい子」「よくできた子」という感じでした

しばらくして
職場の皆に歓迎会をしてもらえることになりました

しかし
その飲み会で
衝撃的な「事件」が起きました

その日、僕はボーダーのセーターを着ていたのですが
僕が調子よくしゃべっていると
Kちゃんが耳を疑うようなことを言ったのです


「黙れ、ボーダー!」

僕は絶句しました

つづく

2009年12月13日

Kちゃんのこと その2

「(あんたに)いったい何がわかるんすか!」と
憎憎しげな口調で突っかかってきます
その反面
「おっとと、すいませんね」と
自制するようにおどけて見せる
僕が見たこともない彼女の一面です

僕は衝撃を乗り越えて
なんとか会話を続けましたが
その後もKちゃんは益々エスカレート!
プカプカとタバコを吸い出し
人を食ったようなことを口にしては
憎ったらしくおどけて顔を歪めます

周りの皆は「出た~…しょうがないね~」
という反応
どうやらお酒が入ると
普段とは180度逆の性格になるらしいのです…

しかし
いちいち僕をバカにしたり
「えらそうなことを言うな」というようなことを言ってくるので
はっきりいって腹が立ちました 笑

何をこの小娘が!

それと同時に、普段あんなに愛想がいいのに
実は僕をそんな風に見てたのか、とショックでした…
でもその時
僕も知らず知らずのうちに
その子を下に見ていたのかな
と思いました

だからこそ
そんなに腹が立つのかもしれないと思ったからです

そう思うと
腹は立つけど
自分の器が小さい気もして、内心ボロボロ;
色んな意味で凹んでしまいました…

さて
衝撃の一夜はなんとか過ぎたのですが
その後のメールに
またビックリ!です

「すごく失礼なことをいっぱいしたそうで…
すみません…
なんにも覚えてないんです」

会社で再会した時も
すごくすまなさそう~な表情で
とにかくすみません…もう皆さんの前で飲むのはやめます!
という感じ

僕もさすがに
え~~全く覚えてないのか…;
とびっくりしましたが
とにかくいいよ、と言って
飲み会の時の彼女はなるべく忘れるようにしました

それからしばらく
また普段通りの良好な関係が続きました

ところが…
飲み会となると
やっぱり豹変するのです 苦笑

僕はまたしばらくは
平気な顔で受け流していましたが
しまいには腹が立って
キツい言葉を返したりしてしまいました

それでまた自己嫌悪に陥るやら
やっぱり腹が立つやら…と堂々巡り

そしてまた
次の日になると
「すいませ~ん…覚えてません」
「いや~、いいよいいよ…;」
そんなことを繰り返すうち
僕は飲み会バージョンの強烈な彼女との
付き合い方を徐々に覚えてはいったものの
やはりそこには自分に無理があり
段々と「飲み会に彼女が来るとイヤだな」と
ボンヤリ思うようになっていきました…

そんな中
突然、僕が今の仕事を
今月いっぱいで卒業することが
決まりました

それで
今月の定例飲み会が
急遽、僕のお別れ会を兼ねることになったのです

さて当日
僕はやはり飲み会に
ちょっと消極的な気持ちを持ったまま
参加しました

ところが…

つづく

2009年12月18日

Kちゃんのこと その3

前半は会社のグチなど、皆思い思いの話をして
あーだこーだとストレス発散
次々と運ばれてくるメニューに
「安い割には料理もウマいね」
などいいながら
つつがなく進行しました

そのうち
僕が会社を辞めるという話題になり
Kちゃんも「さみしいな~」とか言ってくれました
でも僕は酔った時の毒舌の彼女こそが
彼女の本性だと思っているので
うんうんと笑いながらも
ま~たそんなこと言って

どこか空々しいものを感じていました

さて
宴もたけなわ
お酒も入って
皆エンジンがかかり始めました
当然のようにKちゃんのテンションも上がってきました
例によって悪態とプチ暴力?が始まり
横にいる僕は
強烈なデコパンチを浴びたりして
やれやれ…と思いながら
悪態をつき返したりしていました

すると…

Kちゃんの手が止まり
(会社を辞める僕に)私は何か役に立てなかったのか
と聞いてきます

僕は
こんな憎たらしいのに
何を急に…と思って
知らんわ!みたいに適当に答えました
一度、夜の公園で腹を割って話したこともあり
「あの時も?」と聞いてきました
うん
と答えると

彼女は
一瞬むくれた表情になったかと思うと
なんと泣き出したのです!

僕のために、何か力になりたかったと…

一瞬「え?」と戸惑いました
でもそんな風に思ってくれてたのか…と
何かいとおしい気持ちになりました
思わず抱きしめようかと思いましたが
パンチが怖いので
おそるおそる手を差し伸べて
慰めました

…が!
やっぱり手を振りほどかれました 泣

どないやっちゅうねん!


大阪人ならずともツッコミたくなるところ
まったく
相変わらず針ネズミだな~…
針ネズミが弱っていても
触ると痛いから
手を出せないのです;

つづく

2009年12月21日

Kちゃんのこと その4

それから、僕の気持ちに変化が現れました
徐々に解けていくような感じ…
そしてKちゃんを受け入れていく感じ
Kちゃんは子供の頃の辛かった体験のことも
ポツポツと口にしました

自分がそんな思いをしたから
会社で上司に辛くされて
萎縮してしまった僕に
なんとか手を差し伸べたかったんだと思います

それに対して僕は
女の子に弱い男と思われたくなかったから
そういう態度を受け入れられなかったのかもしれません

その後もお酒を飲み
子供のように感情をさらけ出して
悪態をつきながらも
楽しそうにしている彼女を見ながら
どこかうらやましささえ感じました

さて
いよいよ終宴
あくまで気丈を気取るKちゃんは
千鳥足で「大丈夫!」を連呼しながら
一人で帰っていきました

…が!
僕がホームに着くと
どっかで見た子が
駅の柱にもたれかかって目をつぶり
今にも倒れそうに立っているではないか!
やれやれ…
「お~い!」と呼びかけると
目覚める彼女
「なんでここに居んの?」って
それはこっちのセリフやがな

あっちあっち!ホーム逆やで~
はよ行かな終電間に合わんで~
僕は彼女のケリとパンチを交わしながら
なんとか向こうへ行かせるため
エスカレーターに乗せました

こけそうになりながらも
なんとかあがっていく彼女

しばらくすると
向かいのホームに無事降りてきました

そして
向こうからワーッと手を振ってきます
楽しそうに
僕も人前で恥ずかしいな~と
思いながらも
手を振り返します

色んなポーズを取って楽しそうなKちゃんを見て

かわいいな~

と思いました…
すると向こうから大声で

「彼女作れよーー!」

ええ~~~~!?!?!
しまった
油断したー!
公衆の面前で何をいきなり…!!

でも僕も負けじと

「うるさい!こんなとこで言うなーー!!」

と返しました
すると…

「こんなとこやから言うんやーー!」

何かふっきれた気がして
お互い笑い合いました

まるで映画のシーンのように
過ぎていく時間

実は春にはKちゃんは
大阪を離れ
新たな生活を始めます

もうすぐこの電車のように
僕らは同じところから
別の方向へ向かって
旅立っていくのです

ついに彼女の方の電車が来ました
ドアのそばに立った彼女が
窓越しに大きな口を開けて
何か言ってきます

ゆっくりと
ひとことずつ…
「だ・い・じょ・う・ぶ」
僕には彼女の口が
そう動いたように見えました

僕は
「あ・り・が・と・う」
と返しました

彼女はニッコリと笑い
電車が動きだしました

僕は力いっぱい手を振りながら
彼女に別れを告げました

終わり


~~~~

おまけ話

次の日の彼女は
もちろん
な~んも覚えてません

すまなさそうに手を合わせ
例によって「すいませんでした…」
僕はいいよいいよ、と
笑いながら一日が始まります

さて
その日
僕はなんとなく
思い出のボーダーセーターを着て行ったのです

するとKちゃん、ケロッと
「そのセーターいいですよね。好きです、私」
やって!

もう爆笑してしまいました

Kちゃんはキョトンとしてたけど
本当に何か
ひとつのストーリーが終わったな~
という気がしました

おしまい!

つづく

↑このつづくは、ブログがつづくという意味です
悪しからず;

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