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2010年09月 アーカイブ

2010年09月02日

「まだ科学で解けない13の謎」

最近、「まだ科学で解けない13の謎」(原題:"13 Things That Don't Make Sense: The Most Intriguing Scientific Mysteries of Our Time")という、アメリカの科学ジャーナリストの方が書かれた本を読んでいました。

著者ご本人も、量子物理学の博士号を取得されているということで、

偏見や「それまでの常識」、「こうあってもらいたい」という隠れた願望、経済的・権威主義的な思惑が、これまでいかに科学の発展を遅らせてきたか…という歴史的なエピソードも随所にちりばめながら、

可能な限り、「現在分からないことは、どのように分からないのか、またどこまで分かっているのか」ということに、真摯に粘り強く迫ろうとされている姿勢は、まさに「科学ジャーナリスト」に相応しいものと感じられます。


「訳者あとがき」にも書かれているように、この本は、「変則事象(アノマリー)に関する13編の物語」です。

変則事象とは何か。英語の"anomaly"は、文脈によって、『例外』『異様』『奇態』『矛盾』『逸脱』『偏差』『ずれ』などと訳される。つまり、正則をはずれた何か。最先端の知識・知見をもってしても解明できない謎、咀嚼できない事物や現象のことだ。(337頁)

そして、現代においてまだ科学で説明のつかない「変則事象」として、13のテーマが取り上げられています。


宇宙論の根源に位置しながら、あるのかないのか未だに分からない「暗黒物質・暗黒エネルギー(第1章)」に始まって、

なぜかニュートン物理学の法則に背く軌道で飛び続けている、2機の「パイオニア探査機(第2章)」、

「物理定数」は実は一定ではない(第3章)…つまり、これまでの科学の試みは、実は真実を大幅に簡略化しているのではないかという可能性について…


そして、この本の最終章(第13章)を飾っているのが、「ホメオパシー」です。

「生命とは何か?(第5章)」「巨大ウィルス(第8章)」「死(第9章)」「セックス(第10章)」「自由意志(第11章)」「プラシーボ効果(第12章)」・・・これらの内容もホメオパシーと深く関連していることを考えれば、なんとこの本の半分以上は、ホメオパシー絡みと言えます。

ホメオパシーが、現代において論議を呼ぶのも当然ですね。


この本にも書かれているように、ホメオパシーの作用を否定する最終的な研究はなされているとは言えないですし、

「ホメオパシー」を受け入れている人たちが皆「一枚岩」かと言えば、もちろんそんなことはないのです。

「政治家はダメだ」「マスコミはダメだ」…などと一緒くたに言われたりしますが、もちろん政治家の中にも、マスコミの中にもいろいろな人がいるのと同じです。

「科学者」の中にも、「医師」の中にも、いろいろな人がいるのと同じように、「ホメオパシー」に携わっている人の中にも、いろいろな人がいます。当たり前のことですが…

例えば、この本の中でも大きな懐疑をもって言及されている「嬰へ短調」「ト長調和音」「ミステリー・サークル」「パンケーキ」などから作られたレメディー。これらはもちろん、本来のホメオパシーの範疇には入らないと言わざるを得ません。そういうことを試みる方がいらっしゃるのは結構ですが、それまでも「ホメオパシー」である、と主張されたのでは、ちょっと困ってしまいます…。

そういう意味で、この本のように、「正しい意味での科学的な姿勢」をもって様々な「変則事象」に迫っていく試みには大賛成ですし、このような活動にこそ、人間の知性が生かされていくべきと思います。非常に誠実な、「科学的な」本でした。


では、最後にこの本の扉から引用しておきます。

科学において、最も刺激的な一語、
多くの大発見の先触れとなる言葉は、
「分かった(エウレカ)!」ではなくて、
「こりゃおかしい…」だ。
 -アイザック・アシモフ

The most exciting phrase to hear in science,
the one that heralds the most discoveries,
is not "Eureka!," but "That's funny..."
 -Isaac Asimov

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■マイケル・ブルックス(著者HP)
http://www.michaelbrooks.org/

2010年09月14日

大阪4期生 最後の授業

12日(日)は、大阪校の4・5・6・7期生合同授業でした。

毎年、卒業生をお送りする日の授業はまるで大きな「祝辞」のような授業になるのですが、今年もまた、心に残る授業になりました。


* * * * *

2010年7月に、NHK BShiで放映された「100年インタビュー▽免疫学者・多田富雄“寛容”のメッセージ」

世界に名だたる免疫学者の多田富雄さんは、2001年、突然の脳梗塞で右半身の自由と言葉を失われました。このドキュメンタリーは、今年4月に亡くなられるまでに多田さんが残してくださった数々の珠玉の言葉-まさに「最後のメッセージ」-を紡ぐようにして、構成されています。

このドキュメンタリーをみんなで見た後、まずは1年生から4年生までの一人ずつ(全員)が、感想を発表していきました。



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◎免疫という仕組みは、「非自己を排除すること」だと単純に思っていたが、「非自己」を認識する前にはまず「自己」を認識しているのだと聞いて、びっくりした・・・

◎その「自己の認識(自分とは誰か?)」という言葉に、思いを巡らした・・・

◎「自己」と「非自己」の境界は、自分がこれまで思っていたようなものではなかったと気づいた・・・

◎「免疫寛容」に見られる免疫の仕組みの本質を、広く社会を見る目に反映させた多田さんの視点に感銘を受けた・・・

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こうして様々な感想を聞くことで、例え同じ番組を同じ条件で見たとしても一人一人「感受性」が異なることを感じ、また新しい視点や着想を得ることができます。(これはハーネマンアカデミーでの、最も基本的な学びの一つです。)


病を得て絶望し、死に誘惑される時期を経てはじめて、「本当に生きている実感」を感じられたと、番組の中でも語っておられた多田さん。病以前の人生に、それがあったかと言われると自信がないと・・・。

また脳梗塞の後、懸命にリハビリを続けていた多田さんに、「リハビリテーション診療報酬改定」という新たな苦難が待っていました。この改定は、個々人のリハビリにかかる期間というものが当然異なるにも関わらず、それらをすべて、発症から180日に限るというものでした。この改定を多田さんは「棄民政策」と呼び、反対運動を展開されたのですが、この活動を通じて「弱者の気持ちがはじめて分かった」ともおっしゃっていました。


多田さんのように、世界に先駆けて独創的な研究をされ、ひとつの時代を築いてこられた科学者であっても、知的作業である自然科学と、魂の表現である芸術を深いところから融合させて、ご自身の「本当の人生」を生きてゆかれるのは、病で絶望を味わわれた後であったということ・・・

国を挙げて「棄民政策」を行うような社会に警鐘を鳴らしつつ、「"自然科学"と"リベラル・アーツ"を 統合する会(INSLA)」を主宰され、亡くなる直前の同会のシンポジウムにも車椅子で駆けつけられた多田さんの映像に、胸が締め付けられるような思いでした。

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 「終わり」というのは、必ず何かが始まる。私の家でも、昨年は双子の孫が生まれた。ふっくらとした赤子のほっぺたをつつくと、あどけない微笑で応える。

 「そうなんだよ。じいじ(・・・)の世代はお前たちに大きな負の遺産を残した。すまなかったが、強く平和に生きておくれ」と語りかけたい気がする。同時にこの子が大人になるころ、この地球は大丈夫だろうか、目を瞑(つむ)って想像してみた。私のいなくなった世界を思った。

 すると、不思議にも子供の走り回っている情景が目に浮かんだ。私のいなくなった時間の風景に、私の孫かもしれない子供が元気そうに遊んでいる。いや誰の子でもいい。幼児が何人も無心に飛び回っている。

 私は長い時間その世界を想像し、これが私の死後の未来だと確信した。それ以外の情景は浮かばなかった。

 これからだってもっと生きにくい時代が続くだろう。でもあんな子供たちがいる限り、未来は大丈夫だろう。私は幸福な気持ちで、白昼夢の最後のページを閉じた。

 去年今年(こぞことし) 貫く棒の如(ごと)きもの 虚子

 力強い時間の連続性を信じて生きようと思った。


(■多田富雄の落葉隻語 終わりから始まる未来(2009年12月25日 読売新聞)
  http://osaka.yomiuri.co.jp/kokorop/kp91224a.htm

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ドキュメンタリーの中で、「今の文明には救いがあるんでしょうか?」という問いに、多田さんはコンピューターを介してこのようにお答えになりました。亡くなる直前のことです。


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長い闇の向こうに 何か希望が見えます
僕は絶望はしていない
そこには寛容の世界が広がっています 予言です

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「寛容の世界」・・・免疫学者の多田さんでいらっしゃいますから、この「寛容」の言葉はもちろん免疫の本質と無関係ではないでしょう。

自己と非自己を分け、非自己を排除しつつもそれだけではなく、非自己の存在を認めて自分の中に取り込み、共存していく面も持っている「免疫」の仕組み。

免疫の仕組みの中に、この「免疫寛容」がなければ、母体の中に「非自己」である赤ちゃんを宿すことさえできないのが、私たち生き物なのですね・・・

考える力・感じる力を大切にしながら、「力強い時間の連続性」を信じて、私たちも生きていかねばなりません。

ともすれば絶望しそうになることばかりがたくさんある昨今ですが、大先輩である多田さんに、大きな勇気と愛をいただいた授業でした。


* * * * *

この日の授業後、大阪4期生をお送りする「卒業式」が行われました。
その模様は、また後日ご報告させていただきますね!

2010年09月25日

大阪4期生 卒業式

先日11日(土)・12日(日)は、大阪4期生の皆さんにとっては「最後の授業」、そしてその後、感動の「卒業式」がありました。

大阪4期生の皆さん、改めまして、ご卒業おめでとうございます!

4年前の10月に学び始められてから今日まで、まさに「山あり谷あり」だったと思います。
そんな中、お一人お一人が自分のペースでこの長い障害物競走を完走された・・・今年の卒業生の皆さんには、そんな気持ちを強く持っています。

特に4年次の1年間は、お一人お一人にも、クラス全体にも、まさに「変容」と言えるような大きな変化がありました。どんな蝶になるのか分からなかったさなぎが、あっという間に個性豊かな、鮮やかな羽根をまとった蝶に「変容」し、まさにこれから羽ばたこうとしている・・・そんな光景が目に見えるような10ヶ月でした。

卒業式の模様そのものは、大阪5期生のMickさんが詳しく報告してくださっていますのでこちらをご覧ください^^

卒業されてからが、本当のスタートだと思います。
これからも学びを深めつつ、ご自身と周りの方がより良い人生を送ってゆかれるためのガイド役として、お一人お一人が活躍してゆかれることを心より願っています!!

また、在校生の授業聴講にもいらしてくださいね。
セミナールームでいつでもお待ちしています。


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