後藤修さんに初めてお会いしたのは、
94年でした。
その頃、家業の鉄鋼の仕事を辞めて、
作家になろうと思っていました。
その時に、「天才シリーズ」のようなものをやろうと思い、
最初に書こうと思ったのが、
後藤修さんのことでした。
104で電話番号を調べて、
電話してみました。
昔から後藤修さんに関心があり、
ぜひ本にしたい、と伝え、
しばらくの間、密着取材したい、と言いました。
後藤修さんは、深く力のある声ではありましたが、
思いの外、優しい声で、
世田谷区の芦花公園の近くの練習場に毎日いるから、
来るように、ということでした。
私が行ったのは、あいにく練習が終わりかける頃で、
1時間ほど練習を拝見した後、
後藤さんのご自宅でお話をお伺いしました。
最初に、以前からずっと気になっていた質問をしました。
実は、私はゴルフをかなり教えた経験がありました。
私が教える時は基本的にスイングの正面から見ていたのですが、
後藤さんは、飛球線後方からのみ見ていたからです。
以前読んだ雑誌にもそう書いてありましたし、
たった1時間ですが、
練習中も正面には回らず、
常に飛球線後方からのみ見ていました。
「後藤さんは、スイングを正面からではなく、
ほとんど飛球線後方から見ていますが、
なぜなのでしょうか?」
その答えはこのようなものでした。
「私は天文学者から、こういう話を聞いた。
流れ星が落ちるとき、
自分に向かって落ちてくるとしよう。
その時、自分に対して完全には真っ直ぐではなく、
自分から少しでもそれて落ちてくると、
真横に落ちるように見える、と。
だから、私は飛球線後方から常に見ている。
スイングやボールの打ち出しが、
少しでも飛球線に対してずれていると、
瞬時に分かる。
私はもともと超一流プロしか教えない。
まあ、今はちょっと違うがね・・・
超一流プロの場合、
スランプの始まりは、
本当に微妙なずれから始まる。
飛球線後方から見ると、
その本当に微妙なずれでもすぐに分かるんだ。
ただし、私のような『芸術的な眼』を必要とするがね。
それにしても天文学から始まるとは・・・
最初からノックアウトされてしまいました。
つづく